2009年04月25日

糖尿病入院日記 第11話

朝の回診で担当医から2つの話があった。1つは食後に軽い運動療法を始めるという事、もう1つは糖尿病教室に出席してくださいという事だった。

相変わらず無機質でロボットみたいに人間らしさを感じない担当医だけど「明日から運動療法を始める」という話があった時にはうれしくて投げキッスを送りたい心境だった。

やっと外の空気が吸える。。。

しかも、この運動療法は私が毎日ベッドから眺めている公園を歩くという事なのでワクワクした。病院独特の薬品臭が漂う空間から一時の間ではあるけど開放されて草木の香りを嗅ぐ事が出来るのは想像するだけで楽しみ。

回診が終わって眼下の公園を眺めていると向かい側の患者さんが私に話しかけてきた。

「良かったですね。明日から外に出れて」

「はい ありがとうございます。」

よく考えると彼は全く外には出ていないし、身体の状態は決して良くない事は一見しただけで分かる。この病室は糖尿病患者だけだという認識を持っていたけど彼は糖尿病だけで入院している様には見えない。

病名を聞くのも失礼だと思って、少し探りを入れてみようかなと考えていたら彼の方から自分の病名などを話し出した。

「あなたみたいな若い人が、しかも全然太っていない人が糖尿病だというのには驚きましたよ。私なんか糖尿病も悪いし肝臓もやられているので、もう長くないと思ってるんだよね。あなたもキチンと治療して治さないと先々が大変だよ。」

「肝臓が悪いのですか?」

「ええ、酒の飲み過ぎでかなり悪いんですよ。時々、肝臓が凄く痛くなるんです。まあ、今まで好き勝手に生きて来たから後悔はしてないですけどね」

この病室では患者同士で話をするという風景を全く見ないし、他の患者さんは話し掛ける隙が無い人ばかりなので、彼にとっては私は格好の話し相手に映った様で、よく私に話しかけて来る。

かなり裕福な人の様でパジャマは高価なシルク、ガウンも高そうなものを着ている。シルクのパジャマは安いものもあるけど、その手のものは直ぐにシワになるが、彼のパジャマは本物のシルクなので全くシワがない。時計はロレックスと思われるし、どことなく金持ち独特の匂いがする。

ただ、眼光の鋭さや落ち着き払った言動、そして先日お見舞いに来ていた若い美人の女性、それらからすると、少しヤバイ筋の人かもしれないと思えた。

私の様な若造に丁寧語を使うというのも、そういう思いを強くさせた。丁寧な言葉遣いをしながらも声はかなりドスが効いているし存在感があるタイプなので、そういう筋の人なら幹部なんだろうなぁと勝手に妄想を膨らませていた。


posted by グルメ | Comment(0) | ■ 糖尿病入院日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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