2009年04月18日

糖尿病入院日記 第10話

朝7時過ぎになると看護婦詰め所の前に出向いて血糖値を測ったり体重測定を行い、最後にインスリン注射をして朝食を摂るわけですが、私は初めてなので看護婦さんからインスリン注射の打ち方を教えてもらう事になりました。

レクチャーの前に他の人がインスリン注射を行っているのを見ると、手馴れた様子で、いとも簡単にサッサッと注射を済ませて部屋に戻っていきます。

(そうか、そんな感じでやるんだな。。。)

手順なんかは簡単そうだし、みんな何の抵抗も無く朝の日課みたいな感じで談笑しながら注射しているので慣れるとどうって事ないんだなと思った。

皆が詰め所から病室に戻り私1人になった頃に詰め所から看護婦さんが出て来た。「初めてでしたよね。最初はとまどいがあるかもしれませんが、慣れると簡単ですし抵抗も無くなりますからね。」

注射の打ち方のレクチャーが始まったけど、さっき打っていた人の仕草を見ていたのでやり方だけは完璧に頭に入った。

「さあ、それじゃ、打ってみましょうか」

「はい」

消毒液を浸した脱脂綿で腹を拭いて指で腹をつまんで注射針を刺そうとした途端、動きが止まってしまった。

「大丈夫ですよー」と看護婦さんの声。

何故か、どうしても針を刺す事が出来ない。注射は日頃から何の抵抗もなかったし痛いと思った事もない。採血をする時でも自分の赤い血が吸い込まれていくところをジッと見詰めるタイプなので怖いと感じた事もない。

しかし、自分で自分自身の腹に注射針を刺すという行為にどうしても抵抗感を感じずにはいられず、刺す寸前までは行くのだけど最後の一押しが中々出来ない。(おれは何をためらってるんだ。)明日のジョーじゃないけど「打て、打つんだ! 早く!!」みたいな感じで。。。

やっと打つ事が出来た。

インスリン注射は針がとても細いので、ほとんど痛みは無くて、打った場所を見ると微かに滲んだ赤い点が残っているだけだった。

何度も打つ内に少し慣れて来て抵抗感は薄まっては来たけど、それは薄まったというだけの話でやはりどうしても抵抗感が拭えない。自分で自分の身体に注射をするという特殊な行為に対する感覚というか感情というか、そういう事は実際にやった人でなければわからないと思う。

(これを一生続けるのかぁ・・・)

複雑な思いを抱きつつ、とにかく血糖値を下げる事に専念するしかないと思い直した。とにかく、早く点滴が終わって欲しい。点滴が終わらないと散歩も出来ないしトイレに行くのも難儀だし、なんといっても鬱陶しい。

朝食を済ませてベッドに腰を降ろして眼下の公園を眺めると、この時間にしては人通りが少ない。よく考えると今日は土曜日だった。都市の一番の繁華街でありオフィス街の中心に立地している病院なので土日になると朝の風景は一変する。

(外の空気が吸いたいなぁ。)そんな事を考えながら外をぼんやりと見ていると朝の回診の時間になっていた。


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2009年04月12日

糖尿病入院日記 第9話

点滴を新しいものに取り換える時に、翌日から朝食前に血糖値の検査をする事になると告げられた。午後に、これからの入院治療のスケジュールについて具体的なガイダンスがあるという事だった。

午後になると看護婦さんと医師が私の元を訪れ、現状と今後の治療方針に関してのレクチャーが行われた。

入院当初の血糖値が540だった事、そして今現在も依然として高くて320もあるという事。いずれも食前血糖値なので、依然としてかなり高く、安静を要するという事だった。

本来であれば運動療法を取り入れるところだが、血糖値の高さを考慮すると運動療法は血糖値がもう少し下がってから開始し、今はインスリンによる治療と安静を優先するという事だった。

一通り説明が終わると医師はこう言った。「今までは看護婦が腕にインスリン注射をしていましたが明日からインスリン注射を自身でやってもらいます。症状からしてインスリン注射を続けることになります。」

「先生、インスリン注射は一時的に行って、改善すれば別の治療法を行うという風に解釈して宜しいのでしょうか?」

私の質問が終わるか終わらないかの内に「難しいでしょうね。一生、インスリンを打ってもらうことになるでしょうね。」

「血糖値を下げる努力は怠りませんので、最初はインスリン注射をしながら改善すればインスリンを止める方向で検討してもらえませんか?」

「食前血糖値が540もあったんですよ。今だってインスリン注射を何本も打って320もあるんですから無理だと思いますよ。」

冷ややかに、こう告げられて多少ムカッとした。仮にそれが現実だとしても、もっと、言い方というものがあるだろう?初っ端から夢を打ち砕く様な言い方をしなくてもいいだろう?「現状は厳しいけどインスリン注射が一時的なもので済むように頑張りましょうね。」くらい言えばいいのにと思った。

「では、詳細については看護婦から説明がありますので」そう言うとそそくさと出て行った。

私の苛立ちが顔に出ていたせいか、医師が出て行くと看護婦さんが「とにかく血糖値が下がる様に頑張りましょう。血糖値が正常値に戻ればインスリンも打たなくて済みますから。何とか頑張って下げましょう。私達も精一杯サポートしますから。」

この看護婦さんの一言で少しは気も晴れたけど、あの主治医の言い方や表情を思い出すと腹立たしさが中々消えなかった。絶対に血糖値を下げてあの医者を見返してやると闘志が湧いてきた。
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